
築30年以上の家に住んでいて、
- 冬になると床の底冷えがつらい
- 暖房をつけても部屋がなかなか暖まらない
- 夏の2階がサウナのように暑い
- 結露やカビが年々ひどくなっている
こんな悩みはありませんか?
実は、築30年以上の住宅の多くは、現在の基準と比べると断熱性能が十分でないケースが少なくありません。そのため、適切な対策を行わないと、快適性が損なわれたり、光熱費の負担が大きくなってしまうことがあります。
この記事では、
- 築古住宅が寒い・暑い理由
- 気づきにくい「断熱性能の落とし穴」
- 失敗しないための最適な断熱リフォーム方法
を、専門店の視点で分かりやすく解説します。
ななぜ築30年以上の家は寒い・暑いのか?
築30年以上の家でこんな悩みはありませんか?
・2階だけ蒸し風呂のように暑い
・冬になると床から“冷気が吹き上がってくる”
・エアコンをつけても効きが悪い
・結露やカビが年々ひどくなる
広島県府中市は、夏の暑さ・冬の冷え込みの“温度差が大きい地域” のため、
築30年以上のお家では断熱不足による不快さが特に出やすい傾向があります。
府中市・福山・三原・神辺など備後地域でも、「夏の2階が耐えられない」「冬が異常に寒い」という声はとても多く、どのご家庭でも共通して“断熱の見直し”が必要になるケースが増えています。
築30年以上の住宅が「冬は極端に寒く、夏は驚くほど暑い」と言われるのには、明確な理由があります。当時の建築基準は現在と比べて断熱性能が大きく劣り、壁や天井に使われている断熱材の量も少ないため、家全体が外気の影響を受けやすい構造になっているからです。特に1980〜90年代に建てられた住宅で工事に伺うお宅の大半が無断熱です。

さらに、昔の住宅は「気密性能」がほとんど考慮されておらず、家のあちこちに隙間がある状態です。冬になると床下から冷気が侵入し、暖房の効率が著しく低下してしまいます。加えて、窓は熱の出入りが最も大きい場所ですが、当時はアルミ単板ガラスが一般的で、断熱性が非常に低いのが実情です。そのため、暖房をつけてもなかなか暖まらず、夏場は直射日光の熱が室内に入り込んでしまい、2階が特に暑くなるという現象が起こります。
こうした複数の要因が重なることで、築30年以上の家は「外気温に左右されやすい家」になってしまうのです。
築30年以上の家に潜む「断熱性能の落とし穴」
広島県府中市のように、夏は暑さが厳しく冬は底冷えの強い地域では、築30年以上の家で断熱の問題が表面化しやすい傾向があります。見た目では分からない“断熱の落とし穴”が潜んでいることも多く、実際にリフォームではじめて気付くケースも少なくありません。
落とし穴①:壁の中に断熱材が入っていない、またはスカスカ
築30年以上前の住宅では、壁の内部に断熱材がまったく入っていなかったり、入っていても薄いグラスウールが劣化して垂れ下がっていたりと、断熱材が本来の役割を果たしていないことがあります。見た目では分からないため、長年「こういうものだ」と思って暮らしている方も多いです。リフォームの際に壁を開けてみると、断熱材が崩れて湿気を含んでいることもあり、寒さや結露の原因になるケースがよくあります。
落とし穴②:天井断熱だけでは改善しない理由
「とりあえず天井に断熱材を追加したら暖かくなるはず」と考えがちですが、実は天井だけでは十分な改善が得られないこともあります。特に夏場の暑さは“屋根からの輻射熱”が大きな要因で、屋根そのものの断熱不足だと2階部分の温度が異常に高くなります。天井裏の断熱材だけではこの熱を完全に遮断できず、結果として室内が暑いままになるのです。冬場はある程度効果が出ますが、年中快適な環境にするためには外皮全体の断熱構成が重要になります。
落とし穴③:床下の隙間から冷気が直接入ってくる
築古住宅の大きな特徴として、床下の気密性の低さが挙げられます。冬になると「床が冷たくてつらい」「足元だけ冷える」という悩みは、床下からの冷気がそのまま室内に伝わっていることが原因です。床断熱が不十分なままだと、どれだけ暖房を強くしても部屋が暖まりにくく、光熱費ばかりがかさんでしまいます。床下に隙間が多い家では、断熱材と気密処理の両方を行うことで初めて底冷えの解消が期待できます。
落とし穴④:窓の性能が家全体の断熱を大きく落としている
断熱性能を考えるうえで最も重要なポイントが窓です。住宅の中で熱が最も出入りする場所は窓で、冬は約50%の熱が窓から逃げ、夏は約70%の熱が窓から侵入すると言われています。築30年以上の家に多く採用されているアルミサッシの単板ガラスは、断熱性が非常に低く、結露もしやすい素材です。窓の性能が低いままだと、他の場所にどれだけ断熱材を入れても効果が十分に発揮されないという“断熱の穴”が生まれてしまいます。
落とし穴⑤:部分リフォームでは「断熱の穴」が残ってしまう
部分的な断熱リフォームでも、施工範囲を正しく選べばしっかり効果を感じていただけます。しかし、築年数の古い住宅では気密性が低く、どこを改善するかによって体感が大きく変わる点に注意が必要です。
たとえば、
・一室の天井だけ
・窓だけ
・床だけ
といった“部位ごとの施工”だけでは、改善していない場所から冷気や熱気が回り込み、思ったほど体感が変わらない場合があります。
一方で、部分リフォームであっても、
「1部屋まるごと(天井・壁・床・窓)」をまとめて施工すると、驚くほど快適になるケースが多いです。
実際に、リビングのみ断熱改修を行ったご高齢のお客様からは、
「この部屋だけ本当に暖かくて、ほとんど一日中ここで過ごしています」
というお声をいただいた事例もあります。
ただし、改善した部屋と廊下・別室の温度差は残るため、
「改修した空間が快適になる」 一方で、移動の際は寒さ・暑さを感じやすくなります。
そのため、
- 予算に余裕があれば、1階全体をまとめて断熱
- 難しい場合は、生活動線に沿って「LDK → 水回り → 寝室」など優先順位をつけて施工
- 最低限でも、滞在時間の長いリビングだけ改善すると大きな効果
というように、暮らし方に合わせて段階的に進める方法が有効です。
部分リフォームが“断熱の穴”になるのではなく、
「どこをどの順番で改善するか」が断熱リフォーム成功のポイント と言えます。
築30年以上の家に最適な断熱リフォーム方法
実際にどこを改善すれば効果が高いのかは、家の状態によって異なりますが、
築古住宅に共通して「比較的短期間で体感が変わりやすい」リフォームがあります。ここでは、プロの視点から 築30年以上の家に特におすすめの断熱リフォーム方法 を紹介します。
方法①:窓断熱(内窓の設置 or 窓そのものの交換)
築30年以上の家でまず効果を感じやすいのが “窓まわりの断熱改善” です。窓は家の中で最も熱が出入りする場所で、断熱性を上げるだけで室温の安定度が大きく変わります。
古い家の窓が寒い(暑い)理由
築古住宅では、窓そのものに断熱上の弱点が多くあります。
● 木製窓の場合
- 枠も建具も木製のため 日差し・湿気で変形しやすい
- 枠と建具がわずかに歪むだけで隙間が生まれる
- スリムで美しい反面、古い木製建具は特に変形しやすい
- 多くが引き戸で、構造上 必ず隙間がある
- 隙間をふさぐパッキンがないため 隙間風が防げない
● 古いアルミ窓の場合
- 当時のアルミサッシは気密性が低い
- 引き戸なので 構造上どうしても隙間が残る
- ゴムパッキンが劣化し、パッキンが無い家も多い
- アルミは外気温の影響を受けやすく、冬は冷気を、夏は熱を室内に伝えやすい
● 建物そのものの歪み
時間が経つと建物がわずかに傾き、窓枠が調整できない状態になり
隙間風が強くなるケースも多く見られます。
ガラスの性能差は「体感温度に直結」
築古住宅には単板ガラス(1枚ガラス)が多く、これは断熱性がとても低い素材です。
熱の伝わりやすさを比較すると:
- 単板ガラス(3mm): 約 6.0 W/(㎡・K)
- 一般的なペアガラス: 約 2.7〜2.9 W/(㎡・K)
→ 熱の逃げにくさが倍以上に改善される!
さらに近年では、
金属膜で熱を反射する Low-E複層ガラス が普及しており、
- 通常のペアガラス → 日差しの暑さ 10%程度しかカットできない
- Low-Eガラス → 約50%カット
という体感差があります。
内窓(2重窓)と窓交換、どちらが良い?
● 内窓のメリット
- 工期が短い
- 既存窓を残せるので外装の工事が必要ない
- コストを抑えながら断熱性UP
- 防音効果も大きい
多くの築古住宅で 費用対効果が高い人気の方法 です。
● 窓交換が向いているケース
以下の症状があるなら窓交換のほうが長期的に安心です。
- 開閉が重い
- すでに枠が歪んでいる
- 結露がひどい
- 隙間風が強い
現代の樹脂窓や高性能サッシは、古い窓と比べて断熱性が大幅に向上し、冬の寒さや夏の暑さが劇的に改善されます。
方法②:天井・屋根断熱の強化
築30年以上の家では、天井断熱が入っていない家が驚くほど多い です(現場体感で9割)。そのため、天井裏に断熱材を敷き込むだけでも、特に夏の室温が はっきり体感で変わる ほど改善します。
天井や屋根の断熱は、家全体の温度を安定させる重要なポイントです。天井断熱を追加するだけでも冬場の暖房効率は向上しますが、夏場の「2階が暑すぎる」問題には屋根断熱が特に有効です。屋根から入る輻射熱を防ぐことで、室内温度の上昇を抑え、エアコンの効きが格段に良くなります。築古住宅では屋根裏の状態も家によってさまざまなので、専門家による現地調査が欠かせません。
天井断熱だけでも“夏の暑さに大きな効果”
工務店の実験でも、天井に10cmの断熱材がある場合とない場合では天井表面温度に約5℃の差 があるという結果が出ています。これは生活上の快適性に直結する大きな差です。
換気口の重要性
天井裏の熱を効率よく逃がすためには、適切な換気口の設置が不可欠 です。
これがないと、断熱材があっても天井裏が高温になり続け、2階が暑くなる原因になります。
古い断熱材は性能不足のものが多い
昔主流だった薄いグラスウール(50mm)は、
・厚み不足
・隙間だらけの施工
・垂れ下がり
など、十分な効果が発揮されていないケースがほとんど です。
天井断熱はコストも比較的低いため、築古住宅では優先したい改善ポイントのひとつです。
方法③:床断熱の追加・補強 気流止めの追加

冬場の底冷えに悩んでいるご家庭には、床断熱の施工が高い効果を発揮します。床下からの冷気が室内に直接伝わらないようにするだけで、体感温度は大きく改善されます。また、既存の床を剥がさずに床下から断熱施工ができる場合もあり、住みながら工事ができる点も魅力です。築古住宅の場合、床下の湿気対策やカビの状況も確認しながら、適切な工法を選ぶことが大切です。
床断熱が重要な理由
古い家では床下の空間と壁内の空間がつながっている構造になっていることが多く、その空間は天井にもつながっています。 なので、床下の空気は屋根裏まで流れる事が可能になってしまいます。
この状態だと室内を温めると、室内では床よりも天井付近の温度が上昇するため、壁面も上部の表面温度が上がります。 上部の壁が温められ、壁内の空気も上部のみ温められます。これにより壁内で気流が上昇してしまう為、床下の冷たい空気を吸い上げる悪循環が起こり、壁面の下部はいつまでも床面の温度と同じように冷たいままになってしまいます。
床下が冷えると、室内の空気は次のように動きます:
- 部屋の暖房で壁の室内側が温まる
- 壁内の空気が暖まり上に上がる
- その影響で床下の冷たい空気が壁内に吸い上げられる
- いつまでも室内の下半分は暖かくならない
という 「負の空気循環」 が起こり、暖房しても「床面に近いほど寒い」状態になります。
床断熱は“床下と壁の取り合い” が非常に大切
床だけ断熱しても、壁との取り合い部分から冷気が上がる と断熱効果が十分発揮されません。
そのため、
- 床断熱材の追加
- 床下の気流止め(気密処理)
- 床下の湿気・カビの確認
をセットで行うことが重要です。
古い床断熱は「入っていても効いていない」ケースが多い
築古住宅では、床断熱がほとんど入っていない家が大半ですが、
まれに断熱材が入っている場合でも、
- 断熱材の厚みが不足している
- 隙間だらけの施工
- 床下で断熱材が垂れ下がっている
といった状態が多く、
実際には断熱効果がほとんど発揮されていないケースがほとんどです。
そのため、床断熱では「断熱材があるかどうか」ではなく、正しく施工されているかどうかが非常に重要になります。
住みながら施工できるケースも多い
床下から断熱材を施工できる工法も多く、床を剥がさずに工事できる場合は、生活への負担も最小限に抑えられます。
築古住宅において、床断熱は体感改善が大きく、優先度の高い断熱リフォームのひとつです。
方法④:壁断熱(外張り or 内断熱)
壁断熱は費用こそかかりますが、家全体の断熱性能を大幅に引き上げる効果 があります。
● 外張り断熱
外壁工事とセットで行うことで
- 見た目が新しくなる
- 外側から家全体を包むため性能が安定
- 建物の寿命を延ばす
というメリットがあります。
● 内断熱
部屋単位で施工できるため、
- 予算に応じた計画的な断熱
- 必要な部屋だけ改善できる
といった柔軟性があります。
室内でも既存の壁に直接断熱材を貼り、内側に壁を作ることもあるので
築30年以上の家は壁内部の状態が一軒ごとに異なるため、断熱材の種類・湿気対策・気密処理を含め、専門家の現地調査に基づいた判断が欠かせません。
※XPS押出法ポリスチレンフォーム スタイロフォームによる床断熱施工例|湿気に強い断熱材

効果を最大にするための優先順位の付け方
断熱リフォームを成功させるには、「どこから改善するか」という優先順位の考え方がとても重要です。
一般的には、熱の出入りが大きい 窓 → 天井・屋根 → 床 → 壁
という順番で進めることで効果を感じやすくなります。
しかし、築30年以上の住宅の場合、部位の優先順位 だけでなく
「どの空間をどこまで一体的に改善するか」という視点がさらに大切になります。
部屋ごとに「すべての断熱要素を整える」ことが効果UPへの近道
費用には限りがあるため、
家全体を一度に断熱することは現実的でないケースも多くあります。
そのため、
- 窓
- 天井
- 床
- 壁
といった 断熱要素がすべて整う完成した空間 を少しずつ増やしていく方法がもっとも効果的です。
例:
- まずは リビング全体(窓・天井・床・壁)をまとめて改善
- 予算に応じて次の部屋へ段階的に広げる
このように 平面的(空間単位)に範囲を計画する ことで、「断熱の穴」 が少なくなり、体感温度の改善が大きくなります。
なぜ空間単位で整えると効果が高いのか?
断熱材は「ひとつの部位」だけ改善しても、他の部分から熱が出入りしてしまうため、
思ったほど体感が変わらないことがあります。
逆に、
- 窓も
- 天井も
- 壁も
- 床も
が 同じ部屋の中で連続して断熱されると、快適さが一気に上がるのが築古住宅の特徴です。
最適な優先順位は家ごとに違う
建物の劣化具合、間取り、生活動線、家族構成によってどの部屋を優先するべきかは変わるため、専門家による診断を踏まえて、全体の計画を立てることが大切です。
エムズワークスでは、必ず現場を直接確認し、お住まいの状態に合わせた最適な断熱リフォームのご提案を行っております。
築古住宅こそ断熱リフォームが大きな効果を生む理由
築30年以上のお住まいは断熱性能が低いケースが多いため、
リフォームを行うと その変化を体感しやすい という大きなメリットがあります。
たとえば、窓を改善するだけでも冬場の冷え込みが和らぎ、暖房の設定温度を下げても快適に過ごせるようになります。結露が減ることでカビの発生が抑えられ、家そのものの健康状態も向上します。

さらに、断熱性能が上がることでエアコン効率が高まり、光熱費の負担を長期的に抑えられる 点も見逃せません。
また、すでに大規模なリフォームを計画されている場合は、断熱工事を同時に行うことで
「快適な住環境のための差額」という考え方ができます。
たとえば、総額1,000万円の工事に対し、断熱強化を加えることで1100万円になるといったケースでは、
差額の100万円で快適に暮らしながらローンを払うか、
断熱が弱いままで“我慢しながら電気代を払い続けるか
という選択になります。
このように、断熱性能の向上は日々の快適さだけでなく、将来の光熱費や住まい心地にも大きく影響します。
築古住宅だからこそ、断熱リフォームの価値がより高く感じられるのです。
断まとめ|築30年以上の家は“断熱の見直し”が一番の近道
築30年以上の住宅は断熱性能が不足しているケースが多く、寒さや暑さ、結露などの悩みを抱えやすい傾向があります。まずは家全体の状況を把握し、窓・天井・床・壁といった部位ごとの優先順位を決めて改善していくことで、失敗のない断熱リフォームが実現できます。部分的な対策ではなく、家全体をバランスよく見直すことが快適な住まいへの近道です。
広島県府中市のエムズワークス では、断熱リフォームに加え、補助金サポートや施工後のアフターフォローも充実しています。
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